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プロローグ
肉の臭気が漂うような裸、裸、裸 そこでは複数の男女が交わっていた。
数はもちろん男の方が多い。 まるで獣のような情交。
女の喘ぎ声と飛び散る汗。
やがて、獣のような交わりも一段落つき、女達は精魂尽き果ててだらしなくまたを開きながら、放心している。
「おい、肉便器」男は言う。
「はい」女の一人が答えた。
「この写真の女、お前らの後輩なんだってな」
「はい、同じ部活の後輩でした。」
写真を見た男たちが「ひゅー、可愛いじゃん。俺は期待しちゃうね。」と口々に言う。
めいめいが勝手なことを言っているが、内容は写真の女を好き放題に出来ることへの喜びだった。
「今度の合宿に連れてこい。分かったか肉便器」
「わかりました。」 そんなやり取りが終わると、また獣のような情交が始まる。
肉の快楽を貪る男と貪られる女。
肉欲に溺れながら、いつまでも続いていた。
「僕」side
僕は所謂オタクと言う奴だ。
学校でも目立たない数人の趣味が同じ人たちとつるんでいる。
典型的な陰キャグループだ。
「行ってきます。」僕は家を出る。
「行ってらっしゃい」この声は母だ。
僕は持てないし、明るくもない人間だが、こんな僕でも親はそれなりに期待してくれているようだ。
いつもの通学路に入る。
「おはよう」そう言って僕を追い抜いて行ったのは僕の幼馴染の常峰 麻沙子ちゃんだ。
麻沙子ちゃんは美人で明るくてクラスでも人気だ。
同じ高校の同じクラスなのだが、別々に登校している
中学までは一緒に登校していたのだが、高校に入ってからは何となく疎遠になり一緒に登校しなくなった。
最初に切り出したのは僕の方からだったと思う。
麻沙子ちゃんは少し悲しそうな顔をしていたのを覚えている。
僕と麻沙子ちゃんが一緒に登校し続けるのは周りからの圧も凄かったし、僕には無理だった。
その時は心が痛んだが、もう3年になると、慣れたものだ。
麻沙子ちゃんは進学はどうするんだろう。
部活はやってるけど、成績は良い方だと思うので、やっぱり4大に行くんだろうか?
小心者の僕はもちろん今はそんなことが聞ける間柄ではないけど、気になる。
そんな非モテキャラの僕は教室に入っても隅っこで同じ陰キャグループの友達とゲームやアニメの話をするだけだ。
一方の麻沙子ちゃんはクラスの中心となる陽キャグループの中でも中心的存在だった。
特に何事もなく、一日が進み、放課後になる。
麻沙子ちゃんは部活だろう。
麻沙子ちゃんは軟式テニス部に入っている。
軟式テニスのコートは校門から見える位置にある
健康的な太ももが眩しい。
軟式テニスのユニフォームと言うのはスカートだと思っただが、ショートパンツだ。
ショートパンツと言ってもパッツンパッツンのものではなく、丈はかなり長めだ。
もうちょっと色気があるものと思っていたのだが、実際に見てがっかりした記憶がある。
選手にとってはあまり人目を気にする必要が無いユニフォームと言うのはありがたいんだろうなとは思う。
僕は軟式テニスのコートを横目で見ながら、下校した。
こんな風に帰宅部の僕は特に目立たない平穏な日々を過ごしている。
「僕」side終了
麻沙子 Side
「おはよう」私は今日も挨拶をする。
幼さ馴染みの「僕」くんとは高校に入ってから疎遠になってしまった。
小さい頃は仲よくできたのに、もうあのころには戻れないのかなと思う。
「おはよう」暫く通学路を歩くと、同じ軟式テニス部の「今村奈々子」ちゃんに会う。
「おはよう、まさっち」奈々子ちゃんが挨拶を返してくれる。
私たちにとっては部活最後の年だった。
うちの部はあまり強くはないけど、精一杯頑張ったつもりだった。
しかし、例年通り、県予選の2回戦で敗退し私たちの最後の夏は始まる前に終わった。
「またあの人?」
「うーん、まあね」
「まさっちはさあ、なんであんな冴えないのが気になるの?」
「[僕]くんはいい人だよ。幼馴染だしね」
「まさっちとあいつは釣り合ってないと思うけどね」
「もうこの話はやめにしましょう」
奈々子ちゃんと私では[僕]くんに対する意見が合わないので、話を打ち切る。
納得していないという顔をしていたが、これ以上不毛な話をしても意味が無いと思ったのか、話題を変えてくれた。
奈々子ちゃんが[僕]くんを嫌っていると言うより完全に見下し切っているのは知っていた。
私は少し悲しいなと思っていた。
「そう言えばまさっちは夏休みどうする?」
「私は予備校かなあ」
「そっか、まさっちは受験組だったもんね」
部活も終わり、3年生は引退し、受験に専念するようになるのが普通だった。
確か、奈々子ちゃんは地元のR短大に進学する予定だったはずだ。
「今度の週末に・・・R短大に行った、日菜子先輩に誘われてるんだあ。良かったらまさっちもどう?」
「んー。どうしよう」
「合宿所があって泊りでテニスするんだけど、勉強の息抜きにどう?私一人だとどうしても、ね」
それが本音か。
私は苦笑しながら奈々子ちゃんに返事をする。
「わかった。受験勉強を本格的に始める前にテニスして、未練を断ち切るのもいいかもね。」
「良かった。ありがとう。」
その約束をした次の日、奈々子ちゃんと一緒に下校している途中、小ぶりな4WDの車が止まった。
運転は日菜子先輩がしていて、東子先輩もいた。
私は東子先輩を思い出す。
東子先輩は去年私とエースの座を争って負けた。
その時から当たりがとても強くなり、あまり良い印象は無い。
日菜子先輩とも特に仲よくは無かったと思うが、一緒にいるのが不思議だった。
何というか、2人とも凄い格好をしていた。
卒業前はどちらも割と地味なファッションだったと思うが、今は茶髪に派手な服装と前とがらりと印象が変わっている。
かなり遊び人風に見える。
私たちは少し緊張していたと思う。
日菜子先輩たちに挨拶をした。
「こんにちは」
「こんにちは。今週末の交流会に奈々子ちゃんを誘っていたのだけど、麻沙子ちゃんも来てくれるってことだったので挨拶しに来たの」
「まあ、わざわざありがとうございます。日菜子先輩」
東子先輩はこちらをあまり見なかったが、特に去年のような敵意をもった視線は向けてこなかった。
奈々子ちゃんが今週末の交流会のことをいろいろ聞いた。
「市内の森林公園の奥にある合宿所を借りてるの」
「凄いですね。貸し切りですか?」
「ええ、そうよ。今はオフシーズンだし、割と自由に使えるの」
「1泊2日になるけど、大丈夫?」
「はい、よろしくお願いします。でもご迷惑でないですか?」
「迷惑なんてとんでもない。これから私たちの後輩になるんだから、こちらこそよろしくね」
奈々子ちゃんが今週末の交流会のことをいろいろ聞いて、東子先輩のことにも触れた。
意外な顔ぶれにやはり気になっていたらしい。
「東子先輩もR短大ですか?」
「そうね、4大に行く予定だったんだけど、親が心配して結局地元のR短大に通うことになったのよ」
そうつまらなさそうに言う。
意外だった。
確か東子先輩はかなり成績が良かったはず。
先生からちらっと聞いた話によると、かなり上位の大学にも合格できるかもと言う話を聞いていただけに少し驚きだ。
「じゃあ、当日は2人の家に迎えに行くわね。」
こうして私と奈々子ちゃんは日菜子先輩に誘われてテニスの合宿に参加することになった。
何でも、市民大会などにはたまに出ているが大学の大会などで上位を目指すような真剣な部活ではなく、同好会的な集まりらしい。
軟式テニスは中学までは盛んだが、高校や大学になると普通のテニスが中心になる。
交流会では硬式テニスをすることになるが、あまり真剣にはやらないので安心してと言っていた。
ちょっと気を使い過ぎではないかと思ったが、どうも、昨今の少子化でどこも部員確保に必死になっているとのことだった。
その話を聞いたときは何とも思わなかった。
そして、当日がやってくる。
約束通り、日菜子先輩と東子先輩は私たちの家に例の4WDの車で迎えに来てくれた。
合宿所は市内の自然公園の中の奥まった山の中にあった。
市内から車で10分ほどだった。と言っても途中から信号が無くなるので数キロは奥に入っているだろう。
こんなところに合宿所なんてあったのかと思いつつ、やがて合宿所に着いた。
私たちはシャワー棟を借りて着替えをした。
日菜子先輩と東子先輩の姿を見ると、またちょっと驚いた。
私たちの練習着は学校で揃えた下は短パンだが、日菜子先輩たちは目が痛くなるようなピンクに下は下着が見えそうなほど短いスカートを履いていた。
テニスといえばスカートと言うイメージがあるが、それをやると大会に変な目的のカメラをもった人たちが沢山集まるため、長めの短パンをユニフォームにする学校が増えている。
卒業前はユニフォームと言えどもこんな派手な色の服は着てなかったが、意外だった。
我の強そうな東子先輩は絶対に抵抗しそうだと思ったが、特に恥ずかしがる様子もなく平然としている。
「テニスコートはちょっと離れたところにあるのよ」
そう日菜子先輩が説明して、先導してくれた。
2-3分歩いて林を抜けると、テニスコートが見えてきた。
「かなり立派なコートですね。」
「そうでしょ?そこがうちのサークルの自慢なの」
お互いに準備が整うと早速プレイすることになった。
丁度試合形式で軽くプレイしようとしたところに4人の若い男が現れた。
恐らく、大学生だろう。
私と奈々子ちゃんは顔を見合わせて、日菜子先輩にちょっと厳しい視線を送った。
それで察したのか、日菜子先輩は弁明じみた説明を始めた。
「この人たちは、同じインカレサークルに入ってる人たちなの。インカレサークルって大学に跨って部員を集めている部活ね」
「流山です。よろしく」
少し気の弱そうな顔をした流山さんと言う人が代表で挨拶をしてきた。
私たちは少し警戒して距離を置く。
「あー、ちょっと引かれちゃったみたいだね」
「お前の顔が怖いからだろ」
冗談を飛ばしながら、男の人たちは説明を続ける。
「実はここ、僕らの大学の所有なんだよ。同じサークルに入ってるから、時々日菜子ちゃんたちに使わせてあげてるんだ。」
「そうなんですか・・・」
それでも私は突然現れた男たちに警戒を解かなかった。
「怖いなら、帰るけど、折角だから、試合するところを見させてほしいかな。お詫びに審判をやってあげるよ。」
「折角だから、審判してもらった方が良くない?」
日菜子先輩がそう言うので、一回だけ審判をしてもらうことにした。
試合は日菜子先輩たちが勝った。やはり公式に切り替えて1年経つと動きが違っていると思った。
男の人たちとは審判をやってもらっている間に打ち解けた。
かなりフレンドリーで話やすい。
何より代表の流山さんがちょっと気の弱そうな感じで、強引なことをしてくるようには見えなかった。
1人は見事なまでに金髪だったが、流山さんを含む3人は黒い髪で、軽い感じでもなく、真面目そうな好青年といった印象だ。
「じゃあ僕らも、隣のコートで男同士で練習試合するからさ、麻沙子ちゃん達も続けて」
私はちょっと興味があったので、4人のプレイを見ていた。
「お、麻沙子ちゃんに見られると緊張するなあ」
流山さんがそう言うと
「コイツ、そんなタマじゃないから。」
即、軽口が飛んでくる。
4人はとても仲がよさそうだった。
私と日菜子先輩たちは男の人たちのプレイを見ることにした。
「どう?彼らのプレイは」
「何て言うか凄いですね。女子とはレベルが違います」
「流山さんはW大生なのよ。テニスは高校の時にプロにならないかって誘われたらしいわ。趣味でやっているからといって断ったみたいだけど。この4人ともどこの学校にも一人はいいるようなスーパースターが4人集まったような人たちね。頭もいいし」
その説明どおり、物凄いスピードのボールが行きかっている。
あまり気にしていなかったが、体はよく鍛えられており、痩せて見えるけど、かなり筋肉が付いていた。
試合は僅差で流山さんたちのチームが負けた。
試合が終わると流山さんが
「良かったら、男女のペアで試合してみない?」
「いいわね。私たちは見ているから麻沙子ちゃんと奈々子ちゃんで試合してみたら?」
私たちは遠慮しようかと思ったが、全力は出さないという男の人たちの言葉と私たちはいつでもできるからと言う日菜子先輩の言葉に負けてプレイすることになった。
流山さんたちは私たちに見せ場を作ってくれるようにわざと手加減してくれて、私たちのプレイをほめてくれた。
自分たちのサークルに新人を勧誘したいからわざと持ち上げてくれているのだろうが、悪い気分ではなかった。
4人はコミュ力が高く、あっという間に私と奈々子ちゃんと親しくなり、警戒感を解いていった。
日が暮れてきたので戻ることになったが、日菜子先輩が私たちに
「私と流山さんたちは後片付けしてから行くから、麻沙子ちゃんと奈々子ちゃんで先にシャワーを使って。その方が安心できるでしょ?シャワーが終わったら合宿所で休んでいいわよ」
「わかりました。」
私と奈々子ちゃんはその言葉に甘えて最初にシャワーを使わせてもらった。
シャワー室もかなり立派だった。
シャワーを浴びながら、奈々子ちゃんと話す。
「男の人が居たときはちょっと心配になったけど、いい人で良かったね」
「ねー。みんな凄い鍛えられてたね。」
「筋肉凄かったね」
とりとめないの無い話をしながらシャワーを浴び、それが終わると、合宿所に行き、荷物を置く。
暫くすると日菜子先輩たちがやってきて、食事になった。
食事はあらかじめ用意されていた。
「何から何まで、ありがとうございます。」
「あら、お客さんなんだから、ゆっくりして」
和室の広間に全員で集まって食事を行う。
食事は和やかに進んだ。
最後に、みんなで乾杯した。
私たちはもちろんジュースだ。
私と奈々子ちゃんを全員がじっと見ていた。
なんだろうと思ったが、そのままコップのジュースを飲んだ。
暫くしてから、私は突然、我慢できないほど眠くなり、そのままテーブルに突っ伏して倒れるように寝てしまったようだった。